インクルーシブ算数・数学教育の必要性

「教室内のすべての子どもたちに算数・数学をわかってもらいたい」と思うのは、私たち教師にとってはいつも掲げる目標でありながらも、なかなか達成できない目標です。これは私たち教師の指導力不足に責任があるでしょうか。それとも子どもたちの努力不足にその責任があるのでしょうか。誰に責任があるのかと考えること自体がおかしいのでしょうか。

私たち授業デザイン研究会は、この単なる理想のような目標「すべての子どもたちのための算数・数学学習」としての「インクルーシブ算数・数学教育の実現」を目指し、2017年から主に香川県を中心として研究を続けています。この目標は、決して実現不可能な絵空事などではなく、実現可能な目標のはずです。この実現のために私たち教師にはまだまだできることがあるはずです。長時間労働(ワーク・オーバーロード)、カリキュラム・オーバーロードなど、何かとブラックなイメージが近年つきまとう教員という職業ですが、教員の大きな魅力は授業による子どもの成長を最も間近で見られることでしょう。この子どもたちの成長が学級内のすべての子どもたちに対して見られるのならばこれほどうれしいことはありません。本研究会では、このすべての子どもたちの成長のための算数・数学学習としてのインクルーシブ算数・数学教育の実現の手がかりを探し、見出し、論じ続けています。なお、ここでの「すべての子ども」とは通常学級で学ぶすべての子どもを対象としています1)

1)「すべての子ども」を現在は、通常学級に在籍するすべての子どもと規定して研究を進めています。しかしこれは研究の過程です。本来の「すべての子ども」は特別   支援学級や特別支援学校の子どもも含んだすべての子どもであるべきでしょう。現在の我々の研究も、少しずつその方向に進みつつあります。